麻布十番「秦野よしき」のバラちらしの作り方──江戸前の技法で翌日も「うまい!」と言わせる

予約困難店のシェフに教わるカンタンかつ楽ちんレシピを紹介!
麻布十番「秦野よしき」のバラちらしの作り方──江戸前の技法で翌日も「うまい!」と言わせる
はじめに

「料理合コン」だけでなく、男が通う料理教室も盛況だ。そこで、予約が取れない超人気レストランや知る人ぞ知るビストロ、さらにはマニアックなトラットリアなど、飲み食い賢者・愚者が通いつめる料理店の味に注目! 気鋭のシェフにカンタンにマスターできる料理のレシピを教えてもらった!

ギャラリー:麻布十番「秦野よしき」のバラちらしの作り方──江戸前の技法で翌日も「うまい!」と言わせる
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生魚を使わない昔ながらのバラちらし

「乳化」をテーマに、江戸前寿司界隈に新風を起こした麻布十番「秦野よしき」。店では魚の脂とすし飯の酸味で口を愉しませてくれるいっぽう、テイクアウトにする寿司は、翌日食べてもうまくなければと生魚を使わない。江戸前の仕事である「〆る」「煮る」「蒸す」「タレに漬け込む」によって作るのが秦野流「バラちらし」だ。これも「太巻き」同様、第1弾で作った「玉」と「おぼろ」が味の要として活躍する。基本を押さえれば好きな具材でアレンジできる、覚えて損のないレシピだ。

麻布十番 秦野よしきのレシピ第1弾「玉とおぼろ」はこちら

麻布十番 秦野よしきのレシピ第2弾「太巻き」のレシピはこちら

【すし飯】

白飯(水を少なめに炊く) 2合
砂糖 16g
塩 12g
米酢 80ml

【バラちらし】

すし飯 2合
シメサバ
椎茸甘煮
ベビーホタテ
煮つめ(蒲焼のタレでも良い)
もろきゅう(きゅうりでも良い)
海老 3尾
海苔(袋の中で割れて残っているもの)

おぼろ

※玉とおぼろの作り方は「秦野よしきレシピ第1弾」を参照

【手順】
  1. すし飯を作る。米酢に砂糖、塩を入れてよく溶かし、合わせ酢を作る(できれば3日間寝かせるのが望ましい)。寿司桶に白飯と合わせ酢を入れ、米粒がほぐれるように混ぜる。
  2. 海老はゆで、殻を剥き、半身に切る。すし飯で作った甘酢に漬けておく。
  3. 大きめの皿にすし飯を広げ、割れ海苔をのせる。
  4. ベビーホタテを半分に切り、3にのせ、上から煮つめをかける。
  5. 椎茸甘煮をランダムな太さに切り、4にのせる。
  6. おぼろを5全体にふりかける。
  7. シメサバは薄切り、2の海老はさらに半分に、玉は食べやすい大きさに、もろきゅうは小口に切り、それぞれをのせたら完成。

すし飯を作る。米酢に砂糖、塩を入れてよく溶かし、合わせ酢を作る(できれば3日間寝かせるのが望ましい)。水をさっとくぐらせた寿司桶に硬めに炊いた白飯を入れ、その上から合わせ酢をすべて注ぐ。

しゃもじで白飯を崩すように平らにし、桶の底に並行に、切るように混ぜていく。力を入れずに手首のスナップをきかせ、撫でるように切ってはまとめる、を4〜5回繰り返す。合わせ酢が白飯に浸透し、桶には水分がなくなり、白飯がひと粒ずつ立った状態がベスト。

海老を茹で、殻をむいたら半身に切り、すし飯で作った甘酢に漬けておく。

大きめの皿にすし飯を広げ、海苔をのせる。海苔は袋の中で割れたり粉になったりしたものが使いやすい。また、昆布の佃煮を入れても良い。

ベビーホタテは半分に切りすし飯にのせ、上から煮つめか蒲焼のタレをかける。

おぼろを全体にふりかけ、薄切りにしたシメサバをその上にランダムにのせる。

海老は半分に切り、玉は食べやすい大きさに、もろきゅうは小口切りにして上にのせて完成。

秦野よしきさんからのアドバイス:

  1. 海苔と一緒に昆布の佃煮を入れてもおいしいです。
  2. ベビーホタテがなければ煮アサリや鰤の照り焼き、魚の煮付けなども合います。煮付けはタレごと入れましょう。
  3. 好きな具材を入れるのが「バラちらし」ですが、江戸前は生のものは入れないのが基本。たとえば、イカなら茹でるか焼いてください。煮つめやおぼろの味にも生ものは合わないです。生もので合うのはいくらの醤油漬けくらいですね。
秦野芳樹

大学卒業後、白金台「鮨匠 岡部」などで修業しながらケータリングを始める。その後、調理指導でハワイ島に渡る。帰国後、28歳で麻布十番に「すし道」を開店し、2015年に「鮓職人 秦野よしき」に改名。2019年に同じ麻布十番の現在の店舗に移転し「麻布十番 秦野よしき」と改める。2022年、隣のビルに「立喰 鮨となり」をオープン。

麻布十番 秦野よしき

住:東京都港区麻布十番2-8-6 ラベイユ麻布十番B2F
TEL:03-6809-4250
営:18:00〜20:00、20:30〜22:30
休:日曜、祝日の月曜
公式サイト https://www.instagram.com/hatanoyoshikiofficial/?hl=ja

文・高橋綾子 写真・八木竜馬