みなさま、お好み焼きってお好きでしょうか?
実を言うと、個人的にはそこまで好きな料理ではなかったのです……。
なんだか小麦粉がぎっしり詰まってて重たいというか……ほとんどソースの味しかしないし……。そんなイメージでした。
あるとき、そんなことをボヤいたら、
「お前はまだ本当のお好み焼きを知らない…!」
と大阪に縁のある人からいわれまして、今すぐここへ行け!と紹介されたのが「鶴橋 お好み焼き・鉄板焼きオモニ 丸の内店」でした。
なんでも、大阪の鶴橋に本店をかまえる大人気のお好み焼き店「オモニ」が、東京は丸の内に進出してきたのだそうです。
お好み焼きについてさしたる情熱がなかった筆者は、いままで食べてきたお好み焼きといったい何が違うの?お好み焼きはお好み焼きでしょ?と疑心暗鬼でしたが……いざ食べてみたらスゴかったんです。さっそく紹介します!
真のお好み焼きはふわっふわである!!
さっそくオモニにやってきました。一番人気という「オモニ焼き」(1,350円)を注文してみます。
お客さんが自分で焼くのではなく、お店の方がベストな状態でお好み焼きを焼いてくれて目の前に運んできてくれるスタイル。テーブルにも鉄板はありますが、これは「いつまでもアツアツで食べてほしい」というお店の心遣いです。
で、やってきたオモニ焼きがこちら!
写真はすでに完成形ですが、運ばれてきた時点では何もかかっておらず、かつお節などのトッピングを自分でかける or 店員さんにかけてもらえます。
正直、パッと見はただのお好み焼では……?
しかし、一口食べてみるとその認識が覆りました。
え、何このふっかふか具合!?……何これ羽毛布団なの!?
大げさだろとか思われそうですが、本当に羽毛布団のようにエアリーなふんわりさ。ただ柔らかいわけではなく、本当に「ふんわり」なのです。しかし一方で具はトロットロでジューシー……!本当に、何これ???
今まで食べてきたお好み焼きとはまったくの別物ということが、食べた瞬間にわかりました。これは…すごいぞ……。
この食感の秘密は、細かく細か~く刻まれたキャベツにある模様。
一般的ないわゆる大阪のお好み焼きよりも、キャベツの分量がかなり多く見えます。細く細く刻まれたキャベツがたっぷり入ることで、あのエアリーさを出しているのか……。
オモニ焼きには豚肉、イカ、エビ、ホタテといった具材が入っているのですが、それらがキャベツで蒸し焼きにされていて、旨味も強く感じるし、お好み焼き全体の香りを豊かにもしてくれています。
特に、この大ぶりな子持ちホタテ!良い意味でかなり影響力が大きかった……。
この子持ちホタテの旨味が全体に行き渡っていて、それがソースにも負けないくらい主張してくるんです。
ソースといえば、このソースもめっちゃくちゃ美味しい!何だよこれ!!!フルーティーさとスパイシーさが絶妙なバランスで、お好み焼きの良さを引き立てまくっています。
お好み焼きしかり、ソースは主張が強すぎて何でもソース味にしてしまう、というイメージがあったのですが、このソースはそうじゃない。あくまで主役を引き立てていて、具材の旨味や甘みをしっかり感じさせてくれる……。
お好み焼き=ソース味(+かつお節)という概念が音を立てて崩れ去る瞬間でした。
そうか、本当に自分は真のお好み焼きを知らなかったんだな……。
ふわっふわ食感はどうやって生まれるの?これが本場の焼き方だ
オモニ焼きにかなり衝撃を受けてしまいましたが、どうやってこのふわふわ食感を生み出しているのか、特別に焼いているところを見せてもらいました。
焼く前の状態……は見覚えあるな。生地が少なめ&そんなにがっつり混ぜないで鉄板に広げるようです。
刻んだ紅生姜、天かす、卵、キャベツが入っています。
キャベツたちを鉄板に広げたら具をのせます。
ここで、上から出汁で溶いた小麦粉の生地をかけました!
……って、んん!?
生地をたっぷりかけていくのかと思いきや、たったのスプーン1杯で終わってしまいました。たった…それだけ……?
▲この写真はもう生地がかかっています。スプーン1杯で終わってしまったので、かける瞬間の写真を撮りそこねてしまいました……。
スプーン、本当に小さいんですよ。こんなもんです。
この生地を表面にかけるだけ。ちなみに、この生地は大阪のお店と全く同じものを仕入れて使っているそうです。
生地が詰まってて重たいお好み焼きにならないのは、ここに秘密がありそうですね……!こんなに生地が少なくて良いとは本当に知りませんでした。
店長さんいわく、この生地には具材同士をくっつける程度の役割しかないそうです。
ということは、オモニ焼きってほぼキャベツ&具なのでは……?実は炭水化物少なめで野菜たっぷり摂れる、めっちゃくちゃヘルシーな食べ物じゃん!
しばらく焼いていると、お好み焼きからどんどん湯気が立ちのぼってきました。この湯気は中で火が通っている証拠。
じっくり火が通っていくことで、キャベツの甘みと具材の旨味が引き出されていきます。
最後に卵を割りほぐして……
お好み焼きをのせて……
ひっくり返して完成!
この状態で運ばれてきて、先ほど書いたように、ここからソースやかつお節がかかっていくわけですね。
とろっとろチーズと餅がさらにお好み焼きを美味しくする
さて、焼いているのを見てもっとお好み焼きを食べたくなってしまったので、追加「とろけるチーズお好み焼き」(1,350円)を注文!
基本的な作り方はオモニ焼きと同じですが、仕上げにチーズをたっぷり!!!これでもかというくらい、のせてくれます。うれしい。
チーズを溶かすためにフタをして蒸し焼きに。
もうすでにチーズを想像してよだれが止まりません 。
できた!チーズとろんっとろん……!
もう待てない!いただきます!!!
ふわっふわとろっとろ……たまらんんん!!
口いっぱいに広がるチーズの香りとコク!キャベツともちろん合う!当然のようにめちゃくちゃ美味いです。
食べ進めると、チーズのとろける食感とはまた違うけど、美味しさをブーストしている何かに気づきました。
あっ、お餅だ……!
びよーんと伸びるお餅、とろっとろのチーズ、そしてふわっふわのキャベツ。中毒性がありすぎる。
鉄板が保温してくれるのでチーズもお餅もいつまでもベストな状態になっています。焦らず食べられてうれしいです。
オモニのお好み焼きで、もう一つ気づいたことがあります。
ヘラで切り分けるたびに、いろいろな具材が顔を出すので全く食べ飽きることがないんですよね。
▲写真は豚バラです。豚の脂とチーズが合わさると、罪深いけど最高ですよね。
正直、お好み焼きって途中から「ちょっと飽きたなぁ……」と思ってしまうことがしばしばあったのですが、オモニのお好み焼きは「もう食べ終わってしまう、さみしい……」くらいまで思ってしまう。
モダン焼きはB級グルメ感あふれる味わいで、また最高
というわけで、まだまだ食べたくなりましたので「豚モダン」(1,200円)を注文。
せっかくなら、大阪らしいものをと思い、モダン焼き(ざっくり言うと、お好み焼きと焼きそばをあわせたようなメニュー)にしてみました。
モダン焼きに使う麺がこちら。特注している麺で、市販品の焼きそばよりもかなり太め!食べ応えがありそうです。
紅しょうが、ソースを回しかけ、炒めていきます。
キャベツを薄く広げた上に、炒めた焼きそばをオン。
豚肉など具材をのせたら、例によって小麦粉生地を小さなスプーン1杯だけかけます。
オモニ焼きと同じように、卵がのっかった状態で完成!
美味しそうすぎる……。
これもテーブルの鉄板に運んでもらって、ソースとマヨネーズ、かつお節をかけていただきます!
断面はこの通り、みっしり焼きそばが詰まっています。
さっそくいただきます!
おおおおおお!!!
先ほどまでのふわっふわでヘルシーなお好み焼きとはうって変わって、ガツンとB級グルメ感あふれる味わい!これこれ、こういうの好きだ!!!
コシは強すぎないけど歯ごたえは残っている麺は食べ応えがものすごい。ソースとマヨのコク甘な味わいと合わさって、一口あたりの満足感がめっちゃあります。カリッと香ばしく焼かれた部分ともちっとした柔らかい部分のコントラストも最高ですね……。
モダン焼き、最高でした。
トッピングのお話
卓上には、ソース、マヨネーズ、かつお節の基本セットに加えて、青のり、粉かつお、一味が置いてあります。
このめちゃくちゃ美味しいソースですが、これも本店と同じものを使っているそう。
本店でも長きにわたって使い続けている、変わらない味だとか。
ちなみに、一味かけるとどうなるの……?と思い、お好み焼きにかけてみました。
おお、良い!!!
ピリッとした辛味がアクセントになって、ソースの甘みが一気に引き締まります。
ソースは辛めが好みという人はぜひ試してみてください。お酒にも合いそう。
東京進出してきたオモニは日比谷にある
「鶴橋 お好み焼・鉄板焼オモニ 丸の内店」は、「二重橋スクエアビル」という建物の地下1階にあります。
日比谷線、三田線の日比谷駅からは徒歩1分、JR有楽町からは徒歩5分、東京駅からは徒歩8分くらいの場所。
同僚や友達で鉄板を囲めるテーブル席もありますし、
カウンター席もあります。
店員さんが目の前で焼いてくれるカウンター席が楽しくて個人的にはオススメ!
オモニでお好み焼きを食べて、それまでほぼ無関心だったお好み焼きに目覚めてしまいました……!こんなに違うって、本当に衝撃的な体験ですよ!
ぜひ日比谷・丸の内界隈に来ることがあったら立ち寄ってみてくださいね。
紹介したお店
営業時間:11:00~23:00(L.O.22:00)
著者プロフィール
ジョーさん。
料理研究家。1988年生まれ。
「台所に立つのが楽しくなるように」をモットーに幅広いレシピを日々考案。Twitterに投稿するレシピも人気で、フォロワー数は21万人超。
著書の「めんどうなことしないうまさ極みレシピ」 (KADOKAWA) は、発売日に重版が決まるほどの人気ぶり。
レシピ記事の企画開発、調理、盛り付け、撮影、執筆、編集を一人で行い、レシピ動画の撮影と編集も自ら行うマルチな料理家。
Twitter:https://twitter.com/syokojiro
公式サイト「タベタノ?」:http://tabetano.main.jp/