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天ぷら親子南蛮蕎麦

最近、蕎麦をよく食べる。
四国で過ごした10代半ばまではまず蕎麦を食べるという習慣そのものがボクにはなかった。
20代は麺類といえばパスタに気持ちが向かっていたから、うどんもそばもラーメンも、ボクの中ではどうでもよかった。
30過ぎる頃から徐々に、蕎麦を食べるようになって今では、思い浮かべる麺類のまず最初にくるのは日本そば。
変われば変わるものであります。
東京に住んでいると、おいしい蕎麦屋がたくさんある。
しかも多様で多彩な蕎麦の世界が身近にあって、食べ比べるのもたのしいから、自然と蕎麦を食べるようになる。

オキニイリのお店も出来ます。例えば「永坂更科布屋太兵衛」。

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新宿駅の地下鉄ビルの中にあるから、地下鉄移動の途中にふらりと、気づけばお店に入っていたりする感じ。
テーブル席の蕎麦専門店。厨房を同じくしながら立喰い専用のイートインのカウンターが並んであったりするのがたのしく、あっちにいったりこっちにいったり。今日はこっちのテーブル席。親子南蛮蕎麦に天種追加でお腹を満たす。

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卵とじという調理方法。
好きなんだけど、自分にとって好きな玉子のとじ加減で作ってくれるお店を見つけるのに難儀する。
ドロドロは嫌。
汁の温度が高すぎて、チリチリになってしまったのはもっと嫌。
ふっくらしていて、出汁をたっぷり吸い込んだ玉子がふわふわ、蕎麦の上を漂い浮かぶような感じのとじ具合。
「玉子を固めでお願いします」…、と言ってもなかなか通じないことが多いのだけど、ココの卵とじはまさに理想のとじ加減。しかも特別、何も言わなくてもこの状態でやってくるのがまたアリガタイ。

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その卵とじを一層おいしく、贅沢にするのが「親子」。
玉子だけじゃなく鶏肉を加えてネギと一緒にとじる。この鶏肉を地鶏を使って高級にしてみたり、もも肉使ってコクを出したりと、鶏を一生懸命売ろうとする店は全部苦手。
だって蕎麦が主役なんだから、鶏が主張しすぎるのって無粋ですもん。
ここのは胸肉。しかも皮をキレイにひいて取り除き、出汁の中でふっくらさせて泳がせる。ネギは白ネギを細切りにして食感はある。けれど蕎麦を邪魔せぬようにと工夫する。
天ぷらと一緒にそれをたのしみましょうと、天種。つまり天せいろのせいろ抜きってのたのんで合わせる。大人の注文…、でござんしょう(笑)。

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天種の天ぷらはエビにピーマン、かぼちゃに大葉、それにはじかみ。天ぷら屋の天ぷらじゃなくて蕎麦屋の天ぷらですから、衣が若干ぽってりしていて、分厚く固い。そのまま食べると衣ばかりを食べてるような気持ちになるけど、天つゆにひたして食べたり、蕎麦に浮かべて食べたりすると、これがおいしい。衣がたっぷり出汁を吸い込み、ぽってりなめらか。油がやさしくなるのです。

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まずはエビ。蕎麦の上にのっけてパチリ。「天ぷら親子南蛮蕎麦」の勇姿を撮影。
しばらくするとエビの衣の油が溶け出し、汁にキラキラ、油が漂う。ズズッとすすると、油混じりの汁と一緒にふんわりとした玉子が口の中に飛び込み、口一杯をみずみずしくする。あぁ、旨い。
他の天ぷらは天つゆくぐらせ、蕎麦のおかずと洒落込み食べる。熱々の汁でゆっくりとろけてやわらかになる蕎麦の食感なめらかで、風味豊かを思う存分たのしみ食べる。あっという間にすべてがお腹に収まって、汗をかきます。オキニイリ。


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