2013.04.01

可憐な花を咲かせる“サクラソウ”

太陽の日差しも暖かく、春の香りに包まれる4月。周りではサクラも咲き始め、色とりどりの花が春の訪れを教えてくれます。春の代名詞とも言えるサクラ、実はサクラと名前が付く植物は沢山あります。その中から今回は可憐な花を咲かせるサクラソウをご紹介します。

―歴史の古い植物 “サクラソウ”

サクラソウ

科属名:サクラソウ科サクラソウ属
花期:4~5月
花色:紅紫、白、ピンク
原産地:日本、朝鮮半島、中国東北部
花言葉:希望、青春の始まりと悲しみ

その名の通り、サクラに似た花を付ける事からサクラソウと呼ばれるようになりました。早春に芽吹いて地際から5~6枚の葉を出します。葉は長さ10cm程で、縁にゆるいギザギザがあるのが特徴です。開花時期になると株の中心から花茎を伸ばして数輪の花を咲かせます。花は付け根が筒状で先端から開いて5片に裂けます。花径は約2cmで、花色はピンクや白などがあります。

サクラソウは毎年花を咲かせる宿根草です。川岸や木のまばらに生えた草原に自生し、群生する事もあります。野生種の群生地はとても貴重で、埼玉県にある田島々原サクラソウ自生地は特別天然記念物に指定されています。

サクラソウは江戸時代から栽培されていた歴史の古い植物です。現在300種類程の品種が存在しますが、その半数は江戸時代から脈々と受け継がれてきたものです。
ひな壇のような展示台を屋根やよしずの壁で囲い、花の咲いた鉢植えを並べた「サクラソウ花壇」が伝統的な鑑賞方法で、現在でも見る事が出来ます。
明治維新や太平洋戦争で一時は廃れたサクラソウですが、昭和20年代後半から愛好家による栽培が盛んになり現在に至ります。

―世界中で親しまれている “サクラソウ”

サクラソウ属の植物は世界中に約400種あり、花の形などに極端な違いが無いため、サクラソウ属のものを総称的に“サクラソウ”と呼ぶ場合があります。園芸店などでサクラソウとして出回っているものはクリンソウ西洋サクラソウプリムラなどがあり、本種が売られる事は少ないです。日本だけでなく、世界でも親しまれているなんて、素敵ですね。ここでそれぞれの違いを見てみましょう。

クリンソウ◀クリンソウ

プリムラ・マラコイデス◀プリムラ・マラコイデス(西洋サクラソウ)

プリムラ・オブコニカ◀プリムラ・オブコニカ

プリムラ・ポリアンサ◀プリムラ・ポリアンサ

こうして並べて見ると花の付け方などに違いはありますが、花の形が本種のサクラソウに似ていますね。それぞれに開花時期が微妙にズレているので、冬から春先にかけて長く楽しめそうです。

絶滅危惧種に指定されている種類が19種類もあるサクラソウ。高山植物の典型的なタイプが多い為なかなか見かける事も少なく、同じ名前を持つサクラに比べたらあまり目立つ事のない花ですが、もし見かける事があればぜひ注目してみて下さいね。